春日大社参拝の際に参道に立ち並ぶ石灯籠。この中には、「春日七灯籠」と呼ばれる灯籠や見つけると金運が高まるともいわれる灯籠があったりします。
ここでは、そんな春日大社の石灯籠に焦点を当てて紹介しています。
春日大社参拝のお役に立てれば幸いです。
少し長めなので、目次から、関心のある項目に飛んでいただくといいかもしれません。
もちろん、すべて見ていただくと、面白いと思います。
春日大社の石灯籠の概要
春日大社には全部で約3000基の燈籠があり、そのうち石灯籠は約2000基といわれています。
苔むし、年代を感じる石灯籠が数多く並んでいるという印象のみを持たれる方がほとんどかもしれませんが、見ようによっては、結構楽しめます。
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春日大社に多くの灯籠が並ぶのは・・
3000基の灯籠のうち、有名な灯籠は武士や貴族のものもありますが、8割以上は、商人を中心とした一般の方々信仰により奉納されたものといいます。
燈篭の奉納のはじまりは、平安時代末期に若宮社が創建されたころからといいます。若宮様は春日大神様から御誕生された奈良生まれの神様であり、強い信仰が起こったといいます。
若宮社には、神楽殿も建てられ御祈祷も行われるようになり、例祭は大和一国の大祭となります。
そして本殿と若宮を結ぶ道=御間道(おあいみち)は、重要な参道となり、鎌倉時代後半より次々と石灯籠が奉納されるようになったようです。
石灯籠に刻まれる図柄は、人々の願い
約2000基の石灯籠には、様々な形(姿)があり、また、鹿、鶴亀、ミミズク、鹿に乗る寿老人や鶴に乗る福禄寿、鳳凰、孔雀、獅子、様々な舞楽、藤や各種植物、月、御蓋山、昆虫や自然、宝珠や家紋など奉納された人々の願いが様々な図柄や文字で刻まれているようです。
どのような思いで図柄が刻まれているのでしょうか?
・・などと思いを馳せて、石灯籠を観察しながら、歩いてみると、
長い参道が、短く感じてしまうものです。
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知っていると面白い 石灯籠・・3つの見どころを紹介
この中で、特徴的といわれるレアな石灯籠があります。その楽しみ方として「3つの見どころ」に分けて紹介したいと思います。
金運が高まるとか、億万長者になれるとか、うそぶかれる石灯籠(見どころ3)についても紹介していますので、是非最後までご覧ください。
また、このページの下の方では、画像ギャラリーで、石灯籠の風景と紹介をまとめて画像掲載しています。
【見どころ1】「御間型(おあいがた)灯籠」を見る
石灯籠の中に、「火袋の部分が 木製」で、笠、中台、石柱部分も含め、すべてが四角形の姿のものがあります。
これが、「御間型灯籠」といわれるものです。
表参道にも少しだけありますが、この特徴ある姿の石灯籠は、本殿の南門から、若宮社を結ぶ御間道(おあいみち)と呼ばれる参道の両側に並んでいます。
そして、日本全国にある室町時代の灯籠の七割近くは
この御間道に立っているといいます。
木製の火袋を持つ燈篭だけが並ぶこのエリアは、
他の石灯籠とは、異なる優しい雰囲気があります。
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【見どころ2】「春日七灯籠(燈籠)」を見る
「春日七灯籠」は、数ある石灯籠の中で、江戸時代にその美しさで選ばれた7基の石灯籠です。
2000基の中から7選 ・・・ これらの石灯籠は要チェックです!
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それぞれについて、以下で紹介します。
1)茶道の世界でとくに有名な「祓戸(はらいど)型灯籠」
「祓戸(はらいど)型灯籠」は、二之鳥居を越えてすぐの所に鎮座する祓戸(はらいど)神社の前の立つ石灯籠で、室町時代のものと考えられています。
その清楚な姿が茶道でも大変好まれ、
茶室の庭には、この写しが置かれるケースが
多いようです。
2)夫婦神鹿の基壇をもつ「臥鹿(がろく)型灯籠」
参道と剣先道の分かれ目に延享五年(1748年)九月建立の臥鹿型の石灯籠があります。
多くの石灯籠では、下部の基壇には、蓮弁の受花を彫ってあるものが多いのですが、この石灯籠の基壇には夫婦の神鹿が、立体的に円状に彫られているのが特徴です。
3)清楚ながら最も巧みで有名な石灯籠「西屋型灯籠」
石工東寺林喜三郎が製作した西屋型(春日七灯籠の一つ)と見られる石灯籠です。
西屋は江戸時代まであった五箇屋の一つであり、巧みな石灯籠があったといいます。
臥鹿型の左隣に火袋に細密な御簾(みす)(よく見えません)が彫られ、建造物のような細工(笠の下に垂木が彫られているのにも注目)の施され、中台には「三羽の鶴」、基壇には「二匹の亀」が彫られた石灯籠があります。
この石灯籠が西屋型だと考えられています。
竿には寛政二年(1790年)三月に鼓方の大倉七左衛門他二人が、大倉長右衛門伝来の古形を模したと刻まれているようです。
(年代は、よく見えます。)
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4)着到殿の東にある優美な「雲朴(うんぼく)型灯籠」
延享五年(1748年)三月石堀工雲朴(うんぼく)の製作と刻まれる石灯籠です。
着到殿の東にあります。近くに並ぶ石灯籠と比べても、明らかに竿の部分が細いのが分かります。
(写真の中央くらいに見える灯籠)
火袋も芯からずれているようにも感じ、少しの不安定さも感じなががらも、基壇が大きくしっかりとしてバランスが取れている感じの石灯籠です。
笠、中台は六角形、三段の基壇も六角形でこれが雲朴型と呼ばれるもののようです。
よく見えませんが、六角形の火袋には杖を持った何者かが天に煙のようなものを吐き出している様子が彫られているようです。
これは、仙人が大勢の小人を空中に吹き出しているとされています。
5)御間型燈篭で最古の石灯籠「元亨(げんこう)石灯籠」(国宝殿)
【見どころ1】で、紹介した「御間型(おあいがた)灯籠」(笠、本製格子の火袋、竿のすべてが四角形のタイプ)の中で、最古と考えられるものが、「元亨(げんこう)石灯籠」と呼ばれるものです。
鎌倉時代の「元亨三年(1323年)十一月 宥弘敬白」の刻銘がある灯籠で、重要文化財にも指定され、国宝殿に展示されています。
(写真は、御間道にある御間型灯籠)
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6)春日大社最古の石灯籠「柚木(ゆのき)型灯籠」(国宝殿)
春日大社における最古の石灯籠が「柚木型灯籠」といわれるものす。重要文化財に指定され、国宝殿に展示されています。
若宮社の南の柚の木の下にあったことから柚木型と呼ばれているようです。
本来立っていた場所(若宮十五社の広瀬神社、葛城神社前の鳥居の左側)には、レプリカが置かれています。
平安時代の唯一の作で、日本最古の当麻寺の灯籠にも通じているようです。(写真は、レプリカです。)
社伝では、平安時代の1137年(保延3年)に「関白 藤原忠通」が奉納したと伝わる優美な形の灯籠です。
八角形の笠と火袋、中台には、蓮の大きな単弁を八角の隅ごとに彫り出され、見るからに古式な姿といわれます。ただ、宝珠や六角の基礎部分は、他の燈篭の流用で、火袋も江戸時代のものの可能性もあるようです。
(写真は、レプリカのものです。)
7)紀伊神社にある「奥の院型石灯籠」
「奥の院型石灯籠」は、若宮十五社の一つである紀伊神社の横にあります。
バランスのとれた美しい姿で、元禄十四年(1701年)三月に幾人かの漆問屋さんから奉納されたもののようです。
笠、火袋、中台、三段の基壇もすべて六角形で、火袋には、春日では珍しく、木の生える池に雌雄の鶴、御蓋山に雌雄の神鹿が彫られています。
見えにくいですが・・・
こんな感じです。
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【見どころ3】金運高まるという「春日大明神」を探せ!
石灯籠の多くには、この写真のように「春日社」と彫られています。数は少ないですが、それ以外の表記の石灯籠もあります。
中でも、その灯籠を5つ以上(3つ以上という話もあります)見つけると 金運が高まる とか、億万長者になれる と いわれる 石灯籠があります。
あくまで都市伝説ですが・・・少し、見つけてみたくなるのが心情です。
それが、
「春日大明神」と刻まれた灯籠で、
約2000基の中に 15基 ある といわれています。
ちなみに、「春日大明神」とは、春日大社本殿に祀られる4柱
・武甕槌命(たけみかづちのみこと)
・経津主命(ふつぬしのみこと)
・天児屋根命(あめのこやねのみこと)
・比売神(ひめがみ)
を指すようです。
この「春日大明神」の灯籠を見つけるのは、結構大変ですが、見つけることができれば、金運が高まるかも・・・ですね。
私も、現在のところ、4つまで確認できましたが、それ以上は、まだ確認できていません。(もう少しだ!)
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これが、春日大明神!
ちなみに、この写真が「春日大明神」と刻まれた燈籠の一つです。こんな感じです。
「大明神」という言葉のイメージから、大きな燈籠なのかと感じるかもしれませんが、数多くの灯籠と、サイズは変わりません。変な言い方ですが、ほかの燈篭に紛れ込んでいる感じです。
「春日大明神」の灯籠については、どこにあるのかを書いてしまうと、御利益(金運)がなくなってしまうと思いますので、是非ご自身で見つけてみてください。
(金運を呼び込めるかもしれません。)
ちなみに・・JR奈良駅の東口をでた旧駅舎前の信号の所に石灯籠があります。その信号を渡って、まっすぐ進めば、春日大社なので、春日大社の方向を示す灯籠なのでしょう。
その灯籠、あまり気にしていなかったのですが、右側の石灯籠に刻まれているのが、「春日大明神」です。(気づいたときは、えっ!という感じでした。)
う~ん、これも、数えていいのでしょうか・・・?
これを数えると、個人的には、5つ見つけられたことになります!・・が、これは、春日大社境内ではないので、やはり、5つ目は、境内で探します。
(追伸)・・・
2022年12月についに、5基目を見つけました!!
前にも探したところでしたが、見逃していたようです。
(やりました!!)
そして、2023年2月に、6基目・・・しかし、これは、自分で見つけたわけではないので少し残念なのです。
・・・が、ヒントとして記述しておきます。
必ずしも、参道を向いていないということです。
裏側に春日大明神と書かれており、参道側から探しても見つからない灯籠もあることが分かりました。
これは、教えてもらわなければ、
見つけるのが難しそうですね
ということでまずは、表向きの5基を探してみてはいかがでしょうか。
2024年2月 ついに7基目!
これまた、何回も見た場所なのに・・・という所でした。
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付 録(武将にゆかりの石灯籠)
「付録」という言い方は失礼かもしれませんが、お許しください。
さらに、上記以外にもチェックしておきたい石灯籠がいくつかありますがその中から、武将にゆかりの石灯籠を3つだけ、紹介したいと思います。
徳川家康公奉納ともいわれる「金の御間型燈篭」
戦国時代にルイス=フロイスが書いた『日本史』の中に、春日大社の灯籠について、「とても精巧に作られた石柱が並び、方形の石の上に立っていて、大変よく出来ている」と書かれているようです。
このころは、御間型灯籠で木製の火袋に漆が塗られたものがあったようですが、現在は、数十年で作り替えが必要なためか、白木となっています。
その中で現在も 火袋に豪華な鍍金(ときん・めっき)の金属が付いた御間型灯籠が 一つだけ 残っています。
その灯籠は、本殿に入る南門の手間に並行して西側に並ぶ燈篭の中にあり、慶長九年(1604年)五月建立の徳川御三家の「紀州徳川家 初代 頼宣」の灯籠です。
頼宣が三歳(その時すでに水戸藩主)の時に奉納されたもので、三歳の子供の成長を願った石灯籠のため、母親の養珠院とともに父親の家康の奉納とも考えられています。
「葵の御紋入り」で、金色に装飾された豪華な木製の火袋です。石の部分にも多くの葵の紋が入っています。こちらも、見ておくと金運が高まりそうです。
「上杉喜平次公」奉納の石灯籠
本殿南門近くの参道沿いに威厳を感じる一対の石灯籠あります。
それには「上杉喜平次」の名が刻まれています。
「上杉喜平次」とは、安土(あづち)桃山時代~江戸初期の大名「上杉景勝」です。
父は越後坂戸(さかど)城(新潟県南魚沼市)の城主 長尾政景(ながおまさかげ)で、母は「上杉謙信」の姉です。そして、父の死後、謙信の養子となります。
1575年(天正3)越後の春日山(かすがやま)城で「上杉弾正少弼(だんじょうしょうひつ)景勝」となり、豊臣政権下では、120万石を領し五大老の一人となります。
秀吉の死後、徳川家康と対立し、1600年5月会津に挙兵し、家康軍と対峙しますが、この時、大阪で石田三成が挙兵すると、景勝は、戦いをやめます。
関ケ原で西軍が敗北した後は、家康に屈し、出羽米沢30万石に削封されますが、大坂の陣では徳川方として参陣するなどして徳川支配下の大名となっています。
その景勝公奉納の石灯籠です。
豊臣秀長公の武運長久を願う石灯籠
若宮大楠の前に、「郡山城主 御武運長久」と刻まれる対の石灯籠があります。
大楠の前に立てられているというのも、何か重みを感る灯籠です。
これは、大和大納言 豊臣秀長公が大和郡山の城主であったころ、その武運長久を祈願し、郡山藩の町衆たちが寄進したものと想定されるようです。
以上、春日大社の石灯籠について、見どころをまとめてみました。
他にも様々な文様が刻まれる灯籠があります。
春日大社参拝の際には、石灯籠に着目しながら歩いてみてはいかがでしょうか。
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春日大社 石灯籠 の画像ギャラリー
春日大社 石灯籠 の風景・見どころをまとめて画像でご覧いただけます。
撮影:2021年-2022年
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
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春日大社へのアクセス
アクセス
所在地:
奈良県奈良市春日野町160
最寄駅:
JR奈良駅、近鉄奈良駅
拝観時間・料金
春日大社参拝時間:
拝 殿
3月~10月 6:30~17:30
11月~2月 7:00~17:00
拝観料:無 料
特別参拝
(中門前での参拝および回廊の釣燈籠など)
9:00~16:00
拝観料:500円
※ 祭典等により拝観できない場合あり
国宝殿
10:00~17:00
(入館は16:30まで)
拝観料:500円(一般)
※ 企画展・特別展によっては拝観料が
異なる場合あり
駐 車 場:
春日大社本殿前駐車場 1,000円
※ 情報が変更になっている場合もありますので拝観にあたっては、公式サイトもご確認ください。
近隣の宿泊施設
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近隣の見どころ
春日大社内
・・・季節によっては
興福寺、東大寺、奈良町(ならまち)など、メジャーな見どころも豊富です。
そのほかにも、禰宜道を下ると、旧社家町といわれるエリアがあり、志賀直哉旧居や、新薬師寺、百毫寺、頭塔など、見どころ満載のエリアです。
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