若草山は、奈良公園を訪れると目に飛び込んでくる芝生に覆われた山で、奈良の代表的な情景です。また、眺めるだけでなく、入山もでき、山頂からは、奈良を一望できる絶景、夕景、夜景が楽しめます。毎年1月には「山焼き」が行われます。
室町時代に奈良名所としてあげられた「南都八景」では、「三笠山の雪」として、2023年(令和5年)12月に選定された「新・南都八景」では、「若草山からの興福寺遠望」としてあげられる名所です。
若草山について
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若草山は、全山芝生で覆われたなだらかな標高342メートル、面積33ヘクタールの山です。
丸い丘が3つ重なっている様子から別名を三笠山とも呼ばれています。
山頂には、5世紀頃に築造されたといわれる史跡鶯塚古墳があります。
山頂からの眺望は素晴らしく、奈良の盆地が一望できます。
また、夕景や夜景も美しく、夜景では、2003年には「新日本三大夜景」<新日本三大夜景・夜景100選事務局選定>の一つにも選ばれています。
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
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見どころ
山麓のゲート(南北)から入山します(有料)。
山麓のゲートから頂上まで約40分程度、休みやすみでも1時間程度の散策(軽い登山)が楽しめます。
出来れば、山頂まで楽しむのがベストですが、自分の体力や時間によって、山麓エリア、一重目、二重目、山頂(三重目)のどこまで行くかを臨機応変に選んで楽しむことができます。
また、山頂へのルートは、春日山原始林を満喫しながら登る「春日奥山遊歩道」や山頂駐車場まで車で登る有料道路(奈良奥山ドライブウエイ)もあります。
車で行く山頂は奈良を一望する夕景、夜景スポットでもあります。
2023年(令和5年)12月に選定された「新・南都八景」では、「若草山からの興福寺遠望」としてあげられています。それぞれの展望エリアから、興福寺遠望を撮影してみてはいかがでしょうか。
「新・南都八景」に紹介ページで、興福寺の遠望を紹介していますので合わせてご覧ください。
(→こちら)
若草山山麓エリア
例年1月の第4土曜日に行われる若草山山焼きが行われるエリアです。
5月ごろには、緑が広がり、爽快感があります。このエリアで上部に座ってのんびりとひと時を過ごすのもお勧めです。
野上神社・石荒神社
山麓エリアの南側(登山道の南コースの入り口の辺り)に、
春日大社末社の「野上神社」、「石荒神社(いしこうじんじゃ)」の二つの神社がが並ぶ形で鎮座しています。
若草山山焼きの時は、ここでお祈りがささげられます。
小さな社殿を持つ方が、「野上神社(のがみじんじゃ)」です。
ご祭神としては草野姫命(かやのひめのみこと)がお祀りされています。
毎年行われる「若草山山焼き」のときには、春日大社摂社の「水谷神社(みずやじんじゃ)」で灯したお松明を「野上神社」のかがり火に点火して無事を祈る儀式も行われます。
一方、石荒神社は、火産霊神(ほむすびのかみ)が祀りされています。
二つに割れた巨大な磐座がご神体です。
社殿や鳥居などは設けられていない春日大社では珍しい神社です。
春日大社では、神社の社殿などを改修する式年造替が行われますが、その工事に携わる大工さんは、ここでおはらいを受けます。
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一重目、二重目エリア
一重目、二重目エリアからも、奈良を一望する景観が臨めます。
一重目エリア
山麓エリアの北側と南側にそれぞれ、登山ルートがあります。
どちらも同じ一重目エリアに到達しますが、たどり着くまでの景観が随分と異なります。
北ルート
北ルートは、木洩れ日の山道を登っていく感じです。山中の木々の空気につつみこまれながら登り、一重目にたどり着いたときにパッと開けた爽快感が味わえるのが醍醐味ではないかと思います。
南ルート
南ルートは、終始開けた空の下、あたかも若草山の大地と空に挟まれた空間の道を登るような感じです。常に爽快感があり、道々振り返れば奈良を望む景観が楽しめます。春日大社が鎮座する御蓋山も目の当たりにできます。
ただ、日陰になるところがほとんどないため、真夏の炎天下の時は、少しきついかもしれません。
お勧めとしては、野上神社、石荒神社をお参りした後、南ルートで登り、下山は、北ルートでというのがいいと思います。もちろん、その逆でも、両ルートを通るのがお勧めです。
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一重目からの眺望
一重目の展望エリアからも奈良が一望できます。
二重目、三重目よりは、当然低いですが、十分に眺望できます。東大寺大仏殿も眼下に見えます。
飛鳥京、藤原京方面(3枚目)では、大和三山も観ることができます。
二重目エリア
一重目の展望エリアで、北ルート、南ルートが合流し、二重目エリアに向かう道は一本になります。
ここからは、木陰のない開けた道です。
ゆっくりと景色を振り返りながら、登ると高さ(標高)に応じた景観が楽しめます。
二重目の展望アリアは、一重目や三重目より、やや狭めです。ベンチは1つだけあります。
二重目からの眺望
東大寺大仏殿も少し小さくな見える感じす。
二重目まで登ったのであれば、あと一息ですので、三重目まで登るのがお勧めです。
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三重目エリア(若草山山頂)
二重目から更に三重目に向かう登山道を登ります。登山道の山頂側ゲートを出て、少し上ると山頂にたどり着きます。(帰路で登山道に入るときは、入山券を提示することで再入場できます。)
奈良を望む眺望がすばらしいです。
また、ここには、清少納言の「枕草子」の第17段に書かれている「うぐいすの陵(みささぎ)」とも言われる「鶯塚古墳」もあります。
三重目エリアには、春日山遊歩道 北コースを歩いて登ることもできます。
また、車で若草山ドライブウェイ(有料道路)を走り、山頂駐車場まで登ることもできます。
(山麓の入山券は不要です)
奈良を一望できる展望スペース
南北に広がるエリアから、東側(春日原始林エリア)を除き、いろいろな方角を展望することができます。
平城宮跡はもとより、藤原京跡の近隣ある大和三山も見ることができます。(一重目からも観ることができます。)
山頂へは、車でも行くことができ、夕景、夜景も美しいスポットです。
山頂からの眺望
山頂に設置の地図
若草山山頂の夕景を撮影した写真は、こちらをご覧ください。
夕景 や「新日本三大夜景」に認定された夜景 を 楽しむことができます。
すごくきれいです。
鶯塚古墳
鶯塚古墳は、軸をほぼ南北に向けており、全長が103m、前方部の幅50m、後円部の直径61mの規模をもち、小さな石室を持つ後期古墳群であることがわかっています。
築造は、4世紀末~5世紀頃と推定されていています。
丘陵頂部に築造された典型的な前期古墳で、清少納言の「枕草子」の第17段に書かれている「うぐいすの陵(みささぎ)」は、この地とも言われ、古墳の名を「鶯陵」と名付けらています。
埋葬者は不明です。かつては仁徳天皇皇后磐之姫命の御陵とされていた時期もありました。
昭和11年9月に国の史跡指定を受けています。
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若草山へのアクセス
アクセス
若草山山麓入口へは
所在地:
奈良市雑司町469(春日野国際フォーラム)
最寄駅:
JR奈良駅、近鉄奈良駅
若草山山頂へは
※ 閉山時期でも、春日山遊歩道で登ることもできます(約 1時間程度)。
こちらは、春日山原始林の中を歩く道です。
詳しくは、こちら
基本情報(開山時期)
開山時期:
3月 第3土曜日 ~ 12月 第2日曜日
(※ 12月中旬から3月中旬は、閉山されています。)
9:00~17:00まで。
※ 山頂までは、春日山遊歩道(北コース)で山頂に登ることができます。
※ 夜景を見る際(もちろん日中も)は、
車で(若草山ドライブウエイ(有料道路))山頂に行けます。
・若草山ドライブウエイ営業時間:
8:00~23:00(12月1日から3月15日までは22:00)
若草山山麓入場料:
150円
近隣の宿泊施設
奈良公園周辺のホテル・宿なら こちら
JR奈良駅、近鉄奈良駅最寄りのホテルや宿を一覧できるように紹介しています。
社寺参拝や史跡巡りには、奈良公園周辺で宿泊し、ここを拠点に奈良の魅力を満喫してみてはいかがでしょうか。
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おすすめ時期
初夏の青々とした若草山もすがすがしさがあります。
秋の紅葉の時期は、周囲にきれいなスポットがあります。
毎年、1月第4土曜日には、山焼きが行われます。
散策
新緑の頃(4月上旬から5月中旬ころ)
芝生が新緑の緑になるころの若草山は、爽やかな情景と空気感が満喫できます。
新しいパワーを貰える場所です。
紅葉の頃(11月下旬ころ)
奈良公園一帯で、紅葉が楽しめます。若草山山麓入口前から春日大社に向かう途中にある水谷茶屋付近は、非常に美しいです。
行事
若草山山焼き(1月第4土曜日)
奈良の一大イベントの一つです。花火の打ち上げもあり、新春の夜空を彩ります。
こちらの記事で画像たっぷりに
紹介しています
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近隣のみどころ
若草山は、春日大社と東大寺の間にあります。大仏殿ー二月堂ー三月堂ー手向山八幡宮ー若草山ー春日大社という順路がお勧めです。
若草山山頂まで訪れても軽いトレッキング感覚で行くことができます。若草山に入場できる時期であれば、気持ち良さを満喫できると思います。
若草山に関する豆知識
百人一首の三笠山は、若草山のこと?
天の原 振りさけ見れば春日なる みかさの山に 出でし月かも
(阿倍仲麻呂)
「古今和歌集」に収載され、百人一首にも選ばれた阿倍仲麻呂の歌ですが、仲麻呂が、遣唐使としてわたっていた中国で、故郷を想い詠んだものです。
異国の地で美しい月を見て、故郷の春日(奈良)の みかさの山 の月を重ね、故郷への思いを募らせていたことでしょう。
結論ですが、江戸時代以降は「若草山」のことを「三笠山」と呼ぶケースもあるようですが、百人一首に収録されている阿倍仲麻呂の詠んだ「みかさ山」は、この隣にある「御蓋山(みかさやま)」のようです。
みかさ山に昇る月を撮影してみました。
夜の撮影テクニックがなく、こんな感じですが、実際の「みかさの山に出し月」です。
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最後までご覧いただき、ありがとうございあました。