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飛鳥京跡苑池 ~ 飛鳥宮の庭園・儀式や饗宴(きょうえん)の場 ~|画像たっぷり 奈良

奈良県中部

「飛鳥京跡苑池」は、奈良県高市郡明日香村大字岡にある飛鳥時代(7世紀)の庭園遺跡です。
1916(大正5)年に発見された二つの石造物の出土地を1999年(平成11年)に発掘調査し、広大な苑池がの存在が明らかになっています。謎多い飛鳥時代、その庭園の姿について紹介します。

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「飛鳥京跡苑池」について

     

概 要

「飛鳥京跡苑池」(次のマップ上の「苑池」)は、飛鳥京跡内郭と呼ばれる宮殿遺構の北西に隣接する位置にあります。

苑池は、主に斉明天皇の後飛鳥岡本宮(656年~ )から天武天皇、持統天皇の飛鳥浄御原宮(672年~ )の時期に、天皇が儀式や饗宴(きょうえん)のために使用したと考えられています。

『日本書紀』(にほんしょき)に「天武天皇が行幸(ぎょうこう)した」と記された「白錦後苑(しらにしきのみその)」の可能性が高いと考えられています。

2003年(平成15年)に国の史跡及び名勝に指定されています。

      

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画像は、飛鳥資料館にあるジオラマです。

「飛鳥京跡苑池」は南北2つの池で構成され、南池の南東には苑池全体を見渡すことができる掘立柱建物があり、儀式や饗宴に使用されたとみられます。

ここで、この庭園を演出していた石造物が発掘されており、当時の庭園の姿が偲ばれます。

     

飛鳥京跡苑池から出土した石造物

飛鳥京跡苑池の休憩所に置かれる石造物のジオラマです。

このような石造物が飛鳥時代に造られ、苑池が飾られていたということに素晴らしさを感じます。
いつの日かここに当時の苑池の姿が再現されないものかと思ってしまいます。現在見ても美しいのではないかと思いを馳せてしまいます。

      

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苑池のレイアウト

飛鳥京跡苑池に掲示の説明パネルより

苑池は、南池と北池の二つに分かれています。
南池と北池の間には、盛土で構築された渡堤(わたりづつみ)があります。

北池の北側には水路があり、水路の北端は飛鳥川の流れる西側へ折れ曲がっていることから、池にたまった水を飛鳥川に排水していたと考えられています。

南池から水路までを含めると、苑池の範囲は南北約200mに及んでいるようです。

南北二つの池と渡堤、水路は、いずれも石積みによる護岸(ごがん)があり、南池と北池の池底には全体に敷石が認められたようで、飛鳥京跡の宮殿遺構などと同様、その多くの部分が石によって構築されていたようです。

     

大陸の影響を受けながらも日本独自設計の庭園

苑池の南と東は掘立柱塀で区画され、南池の東では門とみられる掘立柱建物が確認されています。
7世紀の中国大陸では、唐の長安城などにおいて様々な規模の苑池が築かれていました。
朝鮮半島では、百済において方形の池を中心とする苑池が6世紀前半から7世紀にかけてつくられ、新羅においては曲線形の池を中心とする苑池が7世紀後半につくられています。

飛鳥時代の苑池は、方形のものが多く、朝鮮半島の百済の影響との見解がありますが、7世紀中頃につくられたとみられる「飛鳥京跡苑池」は、五角形と長方形の2つの池で構成され、曲線状の中島、石積み、石造物の設置、地形を活かした立体的構造などは、東アジアの中でもほかに例がない独自の特徴といえることから、百済の影響を受けつつも日本独自の設計によってつくられたと考えられます。


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飛鳥京跡苑池の画像ギャラリー

現在の飛鳥京跡苑池は、発掘が続けれてれている状況です。当時存在していたエリアが残っている状況でもあり、将来的には、当時の風景が再現されることがあればと願うものです。
画像ギャラリーでは、レプリカや発掘された石造物も含めて紹介しています。

 画像を「クリック」すると大きく見られます。
 スマホでは、タップで拡大後、「スワイプ操作」で次の写真が見られます。

撮影:2022年(令和4年)

Photos by Catharsis  無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024


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石造物の解説

流水施設

画像は、橿原考古学研究所附属博物館に展示の流水施設の石造物です。
南池に立てられていたもので、1916年(大正5年)に出土した別の石造物(出水酒船石)と直線で並べられ水を流す仕組みになっていたことが分かっています。
石材を末広がりに成形し、頭部には横方向の孔が貫通しています。孔の径は9cmで、頭部の前後で3cmの高低差がつけられ、前下がりになっています。

     

出水酒船石(でみずのさかふねいし)

酒船石というと別の 酒船石(岡の酒船石) をイメージしますが、実は、もう一つあり、「出水酒船石」といわれるものが存在します。
飛鳥京跡苑池で、流水施設と組み合わせて使われていたことが分かっています。
実物は、1916年(大正5年)に出水字ケチンダ(飛鳥京跡苑池あたりの呼称)で掘り出された後、京都の庭園に運ばれ、庭石として使われています。

写真は、レプリカで、飛鳥資料館の庭に、再現されているものです。

     

積槽(せきそう)

画像は、橿原考古学研究所附属博物館に展示の積槽です。
扁平な石材の内部を深さ41㎝にくり抜いています。
内側は平滑に成形され、周縁、平坦面、底面は、ほぼ水平です。底面の隅には径4cmの水抜き孔が開けられています。
流水施設とは、別系統で水を送って溜めたものと考えられます。

いずれも、このような石造物が、飛鳥時代に造られ、庭園に配置されていた

ということに驚きを感じます。


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飛鳥京跡苑池へのアクセス

アクセス

所在地:高市郡明日香村岡

最寄駅:
近鉄 橿原神宮前駅、近鉄 飛鳥駅

近鉄 橿原神宮前駅(東口)から

バス(奈良交通):
 飛鳥駅行き
 「岡天理教前」下車
  徒歩 約5分

※バスの運行本数が少ないのでご注意ください。

レンタサイクル:
 飛鳥の周遊におすすめです。

近鉄 飛鳥駅から

バス(奈良交通):
 橿原神宮駅東口行
 「岡天理教前」下車
  徒歩 約5分

※バスの運行本数が少ないのでご注意ください。

レンタサイクル:
 飛鳥の周遊におすすめです。

駐車場:
駐車場はありません。
かなり狭い道なので車で近くまで行くのも避けた方がいい感じです。
※ 自動車の場合、万葉文化館(駐車場有)とあわせて、訪れるのがおすすめです。

レンタサイクル:おすすめです
 飛鳥の地を巡るのには、結構お勧めです。
 近鉄 橿原神宮前駅/飛鳥駅周辺にレンタサイクルがあります。
 また、車の際は、駐車場のあるレンタサイクル店もあります。

     

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