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益田岩船<史跡 岩船> ~ 飛鳥地区 最大の謎の石造物 ~|画像たっぷり 奈良

奈良県中部

益田岩船(ますだのいわふね)<史跡 岩船>は、飛鳥地区に点在する謎の石造物の中で最も巨大な石造物です。
その場所は、明日香村の牽牛子塚古墳の北の山中に位置し、その異次元さを感じる大きさは見ものです。
飛鳥散策の際は、コースに加えたいおすすめスポットです。

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益田岩船(ますだのいわふね)の概要

益田岩船は、奈良盆地の南辺の位置する貝吹山(かいぶきやま)<近鉄 飛鳥駅の西側>の一支峯である石舟山(いわふねやま)の頂上近く(標高約130m)にあります。

飛鳥地方に点在する謎の石造物の中で、一番大きいものですが、何のために造られたかは、未だに謎のままです。

巨大な花崗岩で、実際に目の前にすると、想定した以上の大きさに驚きを感じると同時に、どうやってこのような山の上に・・、どうやってこうのような加工ができたのか・・?などなど、不思議感がどんどんと湧き、異次元のパワースポットのようにも感じられます。

少々アクセスしにくいため、訪れる人が少なめですが、

飛鳥巡りの際は、是非コースに加えることをお勧めしたい

スポットです。

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謎とはいえ、そもそも何なんだろう、これは?

まず、その大きさ・構造は?・・・3つのポイントで紹介

サイズ感や向きを、イメージしやすくするするため、各面から撮影した画像に主な寸法を入れてみました。そのあとに、画像ギャラリーでたっぷりとご覧いただけるようにしています。

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では、大きさや構造について現地の説明板の内容をもとに

3つのポイントで紹介していきます。  

1.とにかく、デカい!

  • 東西の長さ11m、南北の長さ8m、高さ(北側面)4.7mの台形の巨石です。

人物(著者)と見比べていただければ、感覚的に分かっていただけるかと思います。
(少し手前に立っていますので、人物は少し大きめに写っています。)

     

2.掘られた溝と二つの孔!

  • 上面は平坦に加工され、東西方向に幅1.8m、深さ0.4mの浅い溝状の切れ込みが側面の上半部まで彫られています。
  • そして、見えにくいですが、南側縁の溝内には、上から約0.14mの所に幅0.13mの段が造り出されています。
  • 帯状の溝内には中央に1.4mの間隔をおいて西側と東側に二つの方形の孔が掘られています。

二つの孔は、

  • 西の孔は上口部で東西1.5m、南北1.6m、深さ1.3m
  • 東の孔は東西1.6m、南北1.6m、深さ1.3m

とほぼ同じ規模です。

  • 両孔共に孔底の壁の直下には、四方に幅、深さ共に6cmの小溝がめぐらされています。
    (登らないように注意書きがあるため、残念ながら確認できません。)
  • 上面の溝の平坦部は、東西両孔の間にある平坦部に対し、東側は 0.12m、西側は 0.36m低くなっています。
  • これら溝内の平坦部や東西両孔の底面は東西方向には水平だが、南北方向ではいずれも南に傾斜しており、岩船自体がやや南に傾いているものと考えられています。

     

3.岩の下半部は格子状でデコボコ!

  • 岩船の側面は、北側では全貌を現わしており、その大きさを実感できるとともに、上半部は、平滑に仕上げられているが、下半部は、荒削りのままで格子状の溝が刻まれているのが確認しやすいです。
  • この格子状の溝は、東西側面や南側にもみられ、石の整形のための仕事(整形痕)と推定されているようです。
亀石
  • そして、この格子状の刻みは、明日香村川原に所在する「亀石」にもみられるといいます。

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用途や築造年代に関する諸説

この巨大な石造物の用途や築造年代については、未だ謎で今後の研究を待たなくてはなりません。

とはいえ、現状の諸説は?

古くは・・

  • 古くから822年(弘仁13年)<平安時代初期>に、この地に築造された「益田池(=高取川をせき止めて、この地に築造された大貯水池)の碑の台石」とする説がありました。
  • 益田岩船と呼ばれるのも、江戸時代の地誌類にもみられるもので、この岩船が、益田池に関連するものとの想定にもとづく呼称と考えられています。

近年では・・

  • 頂部平坦面を90度回転させ「横口式石槨(せきかく)」だとする説
    (建造途中で、石に亀裂ができてしまい建造が放棄された)
    ※ 石槨(棺を納める室)としても、ほどほどの孔のように感じます。孔が二つということについては、近くの 牽牛子塚古墳 の石室も二つで、同じです。そんなことから、この山に古墳を築こうとしてたのかもしれないと考えると、なんとなく合点がいくところもあります。しかし、東西に彫らる帯のような堀は・・?
       
  • 「占星台の基礎」とする説
    ※ 「占星台(せんせいだい)」は、『日本書紀』の天武天皇3年(674年)条に「占星台を造る」と記述され、占星術を主目的とした、当時の天体観測(天文学)のための建造物のようです。
    また、「占星台」についても謎で、諸説あるようです。
       
  • 「物見台」とする説

などがあるいようです。

そして、築造年代としては・・

  • 上部平坦面の溝や孔が高麗尺(こまじゃく)※ で計画されている
    ※ 高麗尺:大宝令制定以前に朝鮮から伝来した尺
  • 花崗岩の加工技術が終末期の古墳と共通する

などから、少なくとも「7世紀代の特色」を持っている ようです。

これから、古くからいわれた平安初期の益田池の碑の台という説ではなく、

飛鳥時代の石造物の一つなのではないかと感じます。

このような “ミステリアスさ” が 作家の題材にも

その神秘さゆえに

  • 松本清張の「火の路」(ゾロアスター教徒の拝火台として描かれる)
  • 諸星大二郎のコミック・アニメ「暗黒神話」(タイムカプセルとして描かれる)

など、題材として扱われることになったのでしょう。

火の路 上 (文春文庫)
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暗黒神話 (集英社文庫)
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益田岩船の画像ギャラリー

上記を参考に、画像ギャラリーをご覧ください。

 画像を「クリック」すると大きく見られます。
 スマホでは、タップで拡大後、「スワイプ操作」で次の写真が見られます。

撮影:2022年(令和4年)8月

Photos by Catharsis  無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024


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画像ギャラリーの補足

益田岩船の周辺は、竹やぶに覆われており、陽が遮られ何となくスピリチュアルな雰囲気の所です。
ただ、古くは、眺望の良い場所であったといいます。

登山口から5分から10分程度で益田岩船にたどり着けますが、結構な山道です。
夏場や初秋は、虫も多いので虫よけ対策もしておいた方がいいかもしれません。

山を登る途中に、絶滅危惧種と書かれた、「イチヤクソウ(一薬草)」を見ることができました。

1803年―1805年刊(江戸時代)の「本草綱目啓蒙(ほんぞうこうもくけいもう)」という書に「イチヤクソウ」が記されているようです。

     

益田岩船へのアクセス(どこにあるの?)

  • 住宅地と隣接する小高い丘のような山で、市街地の道から、階段を登った上に施設専用道路があり、そこに益田岩船に向かう入山口があり、ここから、割と急な山道を登ります。
  • 5~10分足らずの登山道ですが、一部、歩きにくいところもありますので滑りにくい運動靴がお勧めです。

アクセス

所在地:
 橿原市白橿町8丁目

最寄駅:
  近鉄 岡寺駅、近鉄 飛鳥駅

近鉄 岡寺駅 から

徒歩:約 15分

近鉄 飛鳥駅 から

徒歩:約 20分

※ 飛鳥周遊には、自転車(レンタサイクル)がお勧めです。
(近鉄 飛鳥駅周辺にレンタサイクル店があります。)

基本情報

拝観料:
  無料(自由散策)

拝観時間:
  自由拝観
 (ただし、暗い時間帯は、危険です。)

駐車場:
  無し

 ※ 台数に限りがありますが、
   近鉄 飛鳥駅 前にある
  「道の駅飛鳥駅」または、
   牽牛子塚古墳の西側にある
  「アグリステーション飛鳥」の

  駐車場を利用することもできます。

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近隣の見どころ

牽牛子塚古墳の北北西にあり、頂上付近から牽牛子塚古墳へも向かえるようです。
(私自身はこの道は通っていませんが、案内板が置かれていました。)

↓↓飛鳥周遊のおすすめポイントは、こちら↓↓

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