「桃尾の滝」は、布留川の上流桃尾山にあり、高さ 約 23m、大和高原の西端を南北に走る春日断層崖の中では、最大の滝です。布留の滝とも呼ばれ、古く和歌にも詠まれる景勝地です。
奈良時代初期に義淵僧正(飛鳥の岡寺も開いた僧)によって開かれた龍福寺の旧境内地で、古くから行場として知られたスピリチュアルな滝です。
桃尾の滝の概要
桃尾の滝は、奈良時代初期に開かれた龍福寺の行場で、神仏が祀られ、身を清める滝であったと共に、和歌に詠まれた美しい景勝地でもあります。
滝の落下点に近づくと、神仏に囲まれるようで気持ちも清めらる感じがします。
また、滝の落下点には、水しぶきが立ちのぼり、マイナスイオンもたっぷりと感じらます。
新緑の頃の雨上がりや紅葉の頃は、特に美しいといわれます。また、陽の光を受けて虹で彩られることもあります。
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桃尾山蓮華王院 龍福寺 とは
桃尾の滝の周辺は、奈良時代初期(和銅年間)義淵僧正によって開かれた龍福寺の境内地でした。
義淵僧正は、法相宗の開祖です。
義淵により開基された「龍」の名の付く寺院は三つあり、
大和三龍寺と呼ばれます。
「岡寺(龍蓋寺(りゅうがいじ))」
「龍門寺(奈良県吉野郡吉野町に跡が残る)」、
そして、ここ「龍福寺」となります。
龍福寺は、その後、義淵を慕った行基が伽藍を整備し、さらに約100年の後に、弘法大師空海が精舎を興し再興し、真言宗桃尾山蓮華王院龍福寺と号し、寺領五百石を有する真言秘密の大道場として栄えたと伝えられています。
明治になって廃仏毀釈で廃寺となってしまいましたが、桃尾の滝から、さらに約300m程度登ったところに、かつての 龍福寺 阿弥陀堂跡 があり、現在報親教大親寺(ほうしんきょうだいしんじ)の堂が建っています。
点々と残る堂塔跡の苔むした石垣にかつての面影を偲ぶことができます。
そして、桃尾の滝は、現在もその姿を残しています。
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桃尾の滝の画像ギャラリー
撮影:2022年(令和4年)8月
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
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桃尾の滝の見どころ(画像ギャラリーの補足)
和歌集にも詠まれる景勝地
約23mの落差によって、落下地点の岩によるしぶきで、
時間によっては、落ちた水のしぶきによる虹色の輝きを観ることができます。
水神は滝に日が射し込めば、白龍が虹となって出現するともいわれているようです。
「布留の滝」として古い和歌集にも詠まれています。後嵯峨天皇がここを訪れて、詠まれた歌が説明板に紹介されています。(「古今和歌集」といわれていますが、説明板では、古い和歌集と修正されています。)
今はまた 行ても見ばや 石の上
ふるの滝津瀬 跡をたづねて
<後嵯峨天皇(第88代天皇):鎌倉時代>
また、1688年(元禄元年)には、芭蕉もこの地を訪れているようです。
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滝の周囲の石窟仏
滝の周囲には、複数の石窟仏(不動明王など)が見られます。「白龍大神」を冠する十二の神も祀られており、神仏が一体となり、清める聖地であることが伺えます。
不動三尊麿崖仏・如意輪観音<滝の左側>
これを観るために、桃尾の滝を訪れる人もいるといいます。
鎌倉中期の作といわれるものです。
南北朝時代前期の作といわれるのものです。
滝の正面に鎮座する石窟仏
滝の正面には、「白龍大神」の石碑が置かれ、滝に向かって拝むことができるようになっています。
榊の置かれた石窟仏が鎮座しています。
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滝の奥の断崖の石窟仏
滝の奥の断崖の中にも、石窟仏(不動明王だと思います)が鎮座しています。
これは、少し時代的に新しそうにも見えますが、興味深い光景です。
(画像ギャラリーでも、見つけてみてください。)
十二柱の神名が刻まれる石碑<滝の右側>
滝の右側には「南無妙法蓮華経」と書かれている石碑が立ち、手前側の新しい石碑には、十二柱の神名が刻まれています。
刻まれている十二の神
「三輪白龍大神」「穴倉大善神」「妙白善神」「花姫辨才天」
「千石龍王」「善世龍王」「大地主大山龍王」「大雲権現」
「白龍大善神」「滝巻龍王」「紫雲龍王」「八大龍王」
桃尾の滝のまとめ
- 布留川の上流の桃尾山にある高さ約23mの滝で、大和高原の西端を南北に走る春日断層崖の中では、最大の滝
- 古今和歌集でも「布留の滝」と、詠まれている景勝地
- 滝からさらに登った場所にある桃尾山蓮華王院龍福寺の旧境内地にあたり、この滝は古くから龍福寺の行場であった
- 滝の周囲には石仏が鎮座している(滝の後ろにも・・・)
- 新緑(特に雨の後)の頃、紅葉の頃が美しい
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桃尾の滝へのアクセス
アクセス
所在地:
天理市滝本町
最寄駅:
JR・近鉄 天理駅
基本情報
拝観時間:
自由散策(明るい間)
拝観料:
無料(自由散策)
駐車場:
有(無料):10台程度
※ 県道から桃尾の滝の駐車場に向かう道は、かなり狭いです。駐車場の案内がある小さな橋から約200m程度ですが、対向車が来ないことを祈りながらの走行となります。
近隣の見どころ
桃尾の滝から、標高約500mの大国見(国見山)登山コースがあり、龍福寺阿弥陀堂跡を経て、頂上を目指すこともできます。
頂上付近には、磐座のあとと思われる巨石が点在し、山頂には御山大神と刻まれた石と小さな祠が祀られているようです。奈良盆地の展望を楽しむことができるようです。:「桃尾の滝」付近の案内板より※ 改めてレポートしたいと思います。
また、JR・近鉄 天理駅付近の見どころとしては、「石上神宮」、また、石上神宮もその古道に接する散策の人気スポットの「山の辺の道」があります。
いずれも、おすすめしたいスポットです。山の辺の道沿いには、古代を偲ぶ様々な見どころが点在まします。
石上神宮へは、公共交通機関ですと、少し時間を要することになりますが、車であれば、比較的簡単にアクセスできます。
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