矢田寺は、別名「あじさい寺」とも呼ばれ、境内には約60種、約10,000株の 紫陽花 が植えられており、開花の時期は圧巻です。紫陽花に包まれる寺院は、まさに諸行無常を感じる世界観があります。紫陽花の季節の矢田寺は是非拝観したい御寺です。
本尊は地蔵菩薩で、日本のお地蔵様の発祥の地ともいわれています。
矢田寺の概要
矢田寺は、山号は矢田山、正式名称は金剛山寺で、奈良県大和郡山市矢田町にある高野山真言宗の寺院です。
開基の歴史は古く、飛鳥時代、天智天皇の後継をめぐる壬申の乱(672年)に臨む大海皇子(後の天武天皇)が矢田山に登り勝利を祈願したといいます。
戦いに勝利を収め、天武天皇として即位した後、675年(白鳳4年)に 智通僧上 に勅せられ、七堂伽藍48カ所坊を造営されたといいます。
昭和40年頃から、本尊様であるお地蔵さんにちなんで、紫陽花が植えられ、現在は約60種、約10,000株までになり、開花時期には多くの人を魅了しています。
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おすすめ拝観時期
6月の紫陽花の季節のがおすすめです! というか6月の奈良観光時には、訪れたい御寺の一つです。
また、この時期、矢田寺では、地蔵菩薩立像、閻魔堂特別公開も行われます。
アジサイ園の開園(圧巻の紫陽花は、まさに名所)
2024年(令和6年)の開園は
5月25日(土)~6月30日(日)
の予定です。(入山料:700円)
地蔵菩薩立像、閻魔堂特別公開(重文など)
紫陽花の開花時期に合わせ、本堂、閻魔堂の特別公開が行われ、地蔵菩薩立像、閻魔像他、諸尊や襖絵などが拝観できます。
2024年6月1日 ~ 2024年6月30日
9:30 ~ 16:30(受付は16:00まで)
(本堂拝観料一律500円 ※別途入山料必要:700円)
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「矢田寺の紫陽花」の 画像ギャラリー
では、さっそく 紫陽花の名所ぶりをご覧ください。
6月頃の「アジサイ園」は、紫陽花が所狭しと咲き誇り、それはそれは素晴らしい光景です。
紫陽花に挟まりながら抜けるようなところもあり、遠近での紫陽花を満喫できます。
紫陽花と隙間から垣間見える本堂、この御寺のならでは風景には心清められるようです。
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
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矢田寺の見どころ
紫陽花については、ご覧いただいた通りです。
まず、地蔵菩薩について少し紹介し、最後に筆者が歩いた伽藍全体を簡単に紹介したいと思います。
ご本尊はお地蔵様
当初は「十一面観世音菩薩」と「吉祥天女」を本尊としていたようですが、 弘仁年間(810年~824年)に、満慶上人により「地蔵菩薩」がご本尊として安置されて以来、地蔵信仰の中心地として栄えてきたといいます。
ご本尊となった木造地蔵菩薩立像は、日本最古の延命地蔵菩薩といわれ、” 矢田のお地蔵さん ” の呼び名で親しまれ、矢田寺は「日本のお地蔵様の発祥の地」ともいわれています。
本堂の須弥壇には、「地蔵菩薩立像(ご本尊:矢田のお地蔵さん)」「十一面観音立像」「吉祥天立像」の三体が安置されています。
そして、本堂奥の裏堂には、「地蔵菩薩立像(試みの地蔵)」「弘法大師坐像」「阿弥陀如来坐像」が安置されています。
ご本尊の「地蔵菩薩立像」と「試みの地蔵菩薩像」の関係は・・・?
そもそも伝承のはじまりは、満慶上人が、閻魔大王から戒師役の依頼を受け、地獄に導かれます。
戒師役のお礼として地獄を案内してもらいます。
その時に、地獄の苦しみを自らの身で受け救っている地蔵菩薩(お地蔵様)に出会い、教えを乞うと、
「苦しみを持つ者・恐れる者は、私の姿を拝み、私の名を唱え縁を結ぶと救われるであろう」
とのお告げを受けます。
矢田寺に戻ると、地獄で出会ったお地蔵様のお姿を具現化しようと彫らせますが、その姿を再現することはできませんでした。これが、試みの地蔵菩薩像です。
ところが、ある日、「仏法守護の神」と名乗る4人の翁が現れ、あっという間にあのお地蔵様そのままの姿を彫り上げてしまったといいます。その像が矢田寺のご本尊となりました。
そんな由緒のあるお地蔵様なんですね!
なんだか、ご縁を結びたくなります。
また、満慶上人は、「満米(まんべい)上人」とも いわれているようです。
これは、満慶上人が、地獄からの帰りに、閻魔大王からもらった小箱の中には、
使っても減らな白米が詰まっていたといい、この伝説からの呼び名のようです。
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矢田寺のお地蔵様のお姿の特徴
一般的にお地蔵様は、右手に杖、左手に如意宝珠を持たれている姿が多いのですが、 矢田寺のお地蔵様は、右手の親指と人差し指を阿弥陀如来の来迎印のように結ぶ独特の姿をしていることから「矢田型地蔵」とも呼ばれ、地蔵・阿弥陀両方の功徳を備えているとも言われているようです。
矢田寺の地蔵菩薩の姿と特別公開情報はこちら
(奈良県観光局にリンク)
そもそも お地蔵様とは・・
お地蔵様は、正式には「地蔵菩薩」といい、お釈迦様が亡くなってから、56億7千万年の後に弥勒菩薩が悟りを開き、多くの人々を救済するといわれていますが、それまでの無仏となってしまう間に出現し、その身を種々の姿に分身して衆生を救済することが使命とされているようです。
また、その使命を担うお地蔵様は、実は、閻魔大王の化身だともいわれています。
(地獄では、満慶上人に、自らの化身の姿を見せたのでしょう)
また、あの世で地獄行きか極楽行きかの審判をするために、この世では、各所で人々の行いを見ているとも・・・。
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参道には「味噌なめ地蔵」と呼ばれるお地蔵様も・・
大門坊より本堂へ向かう参道(「あじさい見本園」の前)に、「味噌なめ地蔵」と呼ばれるお地蔵様が立っておられます。
少し変わった呼び名ですが、この呼び名となる逸話がありますので、簡単に紹介してみたいと思います。
味噌なめ地蔵の逸話
その昔、近くに住む ある農婦の家で作っていた味噌の味が悪くなってしまい、農婦が困っていたそうな。
すると、ある夜のこと、石のお地蔵さまが夢の中に現れ、
「我にその味噌を食べさせてくれ。
さすれば、味噌を良い味にしてやろう」
とお告げになったそうな。
翌朝、農婦が矢田寺へ参るとその参道に、夢に立たれたお地蔵様がおられるではないか。
驚いた農婦は、早速、味が悪くなってしまった味噌をそのお地蔵様の口許にり、家に戻てみると・・・な、なんと味噌の味が良くなっていたそうな。
これを伝え聞いた里人たちは、新しく味噌を作ると味が良くなるようにと、お地蔵様の口許へ味噌をぬるようになり、いつの日か「味噌なめ地蔵」と呼ばれるようになったそうです。(おしまい)
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矢田寺の伽藍紹介
入山口にある境内の地図です。
こちらで、矢田寺の全体像を確認できます。
(以下紹介の各堂の参考にしてください。)
以下、筆者が境内参拝したルートです。
山 門
表参道からの入山口です。
ここから、入山しました。
山門をくぐり、階段を登っていきます。
階段は、案内図より長めで、結構登ります。
伽藍入口
ここから平坦な境内になります。
本堂までまっすぐ参道が続きます。
振返るとこのような感じです。
(結構登っています。)
すぐに「大門坊」があります
そして向かい側には「念仏院」
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その先には、あじさい見本園、あじさい園が両側に広がります。
右手に、「あじさい見本園」
いろいろな種類の紫陽花が見られます。
あじさい見本園の前には「味噌なめ地蔵」
「あじさい見本園」を歩いた後、向かい側の「あじさい園」へ
こちらが、「あじさい園」の入口
「あじさい園」内は、”激・あじさい”
先ほど、ご覧いただいた通り、堪能しました。
「春日社」を経て
階段の上には、「鐘楼」
「本堂」、そして、本堂内にはご本尊他
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本堂横の北僧坊、そして本堂後方に回り、閻魔堂他を参拝
北僧坊
本堂後方の閻魔堂他
6月の公開期間中でしたが、閻魔堂を紹介してくれる おばあちゃんが いらっしゃいました。
さらに後方には「舎利堂」他
その先の山道に「四国八十八カ所へんろ道」
ここは、機会があれば歩いてみようと思い、今回はパス。御影堂にも通じています。
閻魔堂から本堂のほうに戻り、池(蓮花池)に沿って歩くと南僧坊前に
蓮華池
南僧坊
といった感じでした。
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矢田寺へのアクセス
アクセス
所在地:
奈良県大和郡山市矢田町3506
最寄駅:
近鉄 郡山駅、JR大和小泉駅
基本情報
拝観時間:
9:30~16:30
拝観料:
アジサイ園の開園期間は、入山料 700円
※2024年は、
5月25日(土)~ 6月30日(日)の予定
通常期の入山料は、無料
詳しくは、こちら(矢田寺 公式ページ)
(アジサイの開花状況も紹介されています。)
駐車場:
表参道付近の民営駐車場(有料)を利用
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