奈良の名物「三輪そうめん」|うまいもん なら

名産

「三輪素麺(みわそうめん)」といえば、全国的に、おいしい素麺(そうめん)としてご存知の方も多いのではないでしょうか。その「三輪素麺」が奈良の名産物なのです。

ここでは、奈良の名産「三輪素麺」について紹介します。
現代まで、育くまれてきた伝統の“うまい!”を是非堪能してみてください。

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奈良は「そうめん発祥の地!」

えっ!そうなんですか!?

はい、そうなんです。素麺(そうめん)の発祥の地は、奈良!
では、楽しく紹介していきたいと思ます。

素麺発祥の地は、三輪(奈良の地名)

素麺発祥の地とされているのは、奈良県桜井市にある三輪で、JR奈良駅から、桜井線(万葉まほろば線)にJR三輪駅があります。

三輪周辺では素麺の製造が盛んに行なわれています。

    

三輪には、万葉集にも詠まれる神山、三輪山があります。

三輪山は、『古事記』や『日本書紀』の神話に記され、山そのものが日本最古神社ともいわれる「大神神社(おおみわじんじゃ)」の御神体となっています。

     

大神神社は、素麺の守護神ともされ、毎年2月5日には全国の手延べ素麺産地の関係者が一同に会し、その年のそうめん相場をご神前で占う神事「卜定祭(ぼくじょうさい)」が営まれています。

     

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三輪素麺の歴史

では、三輪で素麺が発祥した起源を少しだけ紹介していきます。

元は宮廷の食べ物「索餅(さくべい)」

そもそも素麺は、約1300年前の奈良時代に中国から伝わった小麦粉と米粉を練って縄状にねじった「索餅(さくべい)」というお菓子が素麺の起源とされています。

索餅は、宮廷では特別な食べ物として珍重されていたものとされており、遣唐使が小麦粉とともに製法が持ち帰られたという説があります。

      

三輪素麺の原型は、平安時代から室町時代に・・

平安時代(約1200余年前)に、疫病と飢餓に民が苦しんでいた時に大神神社の神孫・大田田根子の子孫である穀主が救済を祈願したところ、三輪の里に小麦を栽培するよう神の思し召しがあり、その小麦を粉に挽き、水でこね延ばして糸状にしたもので飢餓にあたったとされています。

これが三輪素麺の起源といわれています。

その後、時代を経て、細く伸ばす素麺製造の技術が発展し、室町時代にはほぼ製法が完成したといわれています。

     

室町時代の宮廷の日記にも素麺(にゅうめん)が・・・

索餅から発展したそうめんですが、当初は高級食材として扱われており、冬に宮廷料理として出されていたという記録があります。

室町時代後期、後柏原天皇(第104代天皇:在位1500年11月~- 1526年5月)に仕えた大納言 中御門宣胤(なかのみかど のぶたね)卿が、残した日記の中に「宮中で開かれた歌会の後、天皇より入麺(にゅうめん)、酒を賜る」と記されているように、当時、温かい「にゅうめん」は、最高の おもてなし であったようです。

       

素麺といえば、夏の涼を感じるような食でもありますが、温かいつゆで食べる「にゅうめん(煮麺)」は、奈良の名物としても今も受け継がれています。

      

     

江戸期のお伊勢参りをきっかけに全国的に普及!

素麺が全国的に普及したのは、江戸期といわれます。

江戸期にお伊勢参りの道中に三輪を訪れた人々が、三輪素麺を食したそうです。そしてその美味しさに魅了されたといいます。

1754年当時発刊されたグルメ本ともいうべき『日本山海名物図会』では、

大和三輪素麺は、細きこと糸のごとく 白きこと雪のごとし。茹でても太くならず、他の地方の素麺が及ぶところでない。旅館でも名物として旅人を素麺でもてなしている。

と褒めたたえ、三輪素麺の名声ぶりが記載されているようです。

そんなことから、手延べの製法が播州(兵庫県)、小豆島、島原へと伝わり、日本を代表する伝統食へと広がっていったといいます。

現在も、奈良県の「三輪そうめん」、兵庫県の「播州そうめん」、香川県の「小豆島そうめん」の3つは、「日本三大そうめん」と呼ばれる手延べそうめんの産地となっています。

奈良県下でも、昭和40年代以降、家内工業として広く受け入れられ県全域に広がっています。

      

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三輪素麺(そうめん)の うまい!のポイントは・・

三輪素麺のうま「うまい!」には、訳があります。神のお告げでも、三輪の地は、素麺の製造に適していたということだったのでしょう。

三輪の地は、豊富な水が小麦を育み、良質な小麦粉が製造されるとともに、冬季の厳しい寒さと晴天日が多い低湿度な環境により、素麺の製造に適していたことです。
これにより、素麺の製造が盛んになり、現在の三輪そうめんにも引き継がれています。

うまい!のポイントは、次の3つです。

1)豊かな風味

昔ながらの製法で、厳選された小麦粉と水を使用し、一本一本を手間ひまかけて作り上げられるため、非常に滑らかでキメが細かく、さらに「豊かな風味」があります。

2)コシの強さ

一般的な手延べ素麺のタンパク質含量が9.3%程度に対し9.5%以上であることから、しっかりとした「コシの強さ」があります。

伸縮性に優れ、非常に細い製麺が可能かつ、茹で上げ後の茹で伸びが抑制できます。

そして、製造後も、すぐに出荷しないこともポイントです。
凍てつくような寒さの中で完成したそうめんは、すぐには出荷せず、乾麺として木箱で貯蔵された状態で梅雨を越します。
このプロセスにより、原料の小麦に含まれるグルテンが変成し、麺にしっかりとしたコシが出るようになります。

梅雨越しの回数により、素麺の呼び名も異なります。

  • 1回梅雨越したものが「新物(しんもの)
  • 2回梅雨越したものは「古物(ひねもの)

と呼ばれます。

梅雨を2度越した古物(ひねもの)は、特にコシが強くなり、小麦の香りや甘みがよく保たれた上物といわれます。そして、「にゅうめん」にしてもしっかりとしたコシが楽しめるものになります。

     

3)喉越しの良さ

そして、何と言ってもその細くて繊細な麺が織りなす絶品の「喉越しの良さ」です。
つるりとした食感で、口に入れると軽やかに滑り込み、のどを通り過ぎる感覚は、三輪素麺ならではの味わいです。

     

したがって・・・

どんなつゆにもよく絡み、麺自体にほんのりとした甘みを感じさせます。
そのため、冷たいつゆに浸して食べるのはもちろん、温かいつゆに浸した「にゅうめん(煮麺)」の美味しさも格別です。

なるほど!

        

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これが、三輪素麺のうまいの証

三輪素麺」は奈良県三輪素麺工業協同組合により商標登録されています。
そして、「三輪素麺」を名乗るための自主基準が設けられています。

さらに、近年(平成29年)には、農林水産省が登録受付をしている「地理的表示保護制度」にも登録されています。

そんな三輪素麺には、「うまいの証」が付されています!

1)三輪素麺工業協同組合自主基準

三輪素麺の品質を担保するために、奈良県三輪素麺工業協同組合によって小麦紛製品規格、タンパク質の量、麺の含水率、麺の細さなど厳密な組合自主基準が定められています。
(組合自主基準の具体的な内容は非公開です。)

この自主基準で製造された三輪そうめんには、三輪素麺の商標として、大神神社の拝殿にある三ツ鳥居が使われています。

また、「鳥居マーク」が入った帯で素麺が束ねられ、三輪素麺として品質保証されています。

三輪素麺工業協同組合の基準に合致した三輪素麺を入手する際には、これが一つの目安になります。

     

2)「地理的表示保護制度」に基づく基準

地理的表示保護制度は、特定農林水産物の名称の保護に関する法律に基づき、「農林水産省」が平成27年6月に登録受付を開始した制度です。いわゆる公的な認証です。

認証を得るには、名称から産地が分かり、品質や社会的評価などの「産品の特性」と、生産地の気候や風土などの「自然的な特性」、統的製法や文化といった「人的な特性」が結びついていることが求められるものです。

三輪素麺は、平成28年3月29日に、この「地理的表示保護制度」に「三輪素麺( ミワソウメン )」として登録(地理的表示保護制度登録第12号)を受けており、上記に適合するものという公的な証も得たということになります。

登録者生産団体は、奈良県三輪素麺工業協同組合です。

これにより、自主的規格のマークに加え、公的認証のマーク(GIマーク)も表記できるようになり、こちらを「三輪素麺」の証として使うケースが増えているように見受けます。

消費者としては、少し悩ましいのですが、鳥居のマークを使わずに、GIマークのみを表示し、素麺を束ねる帯にも鳥居マークのない独自の帯が使われているケースがあるので、少し悩ましいところです。
でも、どちらも「三輪素麺」として認定されたものなんですね。

それぞれ表示するために、フィー(料金)が発生するのでしょうかね?

一方、このように、全てを表示している商品もあります。

     

これは、分かりやすいですね!

    

いずれにせよ、これらのマークを頼りに、「三輪素麺」の味わいを堪能して欲しいと感じます。

     

さらに三輪素麺には、等級もあり!

さらに、三輪素麺には、等級があります。
これらの食べ比べもまた三輪素麺を味わう醍醐味かもしれません。

三輪素麺の4つの等級

三輪素麺は、麺の細さによって決まる等級も、組合で設定された基準の一つで、その細さにより4種類の等級が定められています。細いもの程、高級なものとされています。

細い順に「神杉(かみずぎ)」「緒環(おだまき)」「瑞垣(みずがき)」「誉(ほまれ)」と呼ばれます。

とはいえ、「誉(ほまれ)」が主流で、全生産量の90%程度 を占め、「三輪素麺」を代表するものということになりますが、さらに、グレードの高いものが、3段階存在するとになります。

各基準の概要は次の通りです。(詳細は公開されていません。)
麺の長さは、いずれも、19cmです。

ランク特徴基準概要
神杉(かみずぎ)三輪そうめんで最も細い最高等級。見た目の美しさに加え、最高級の小麦粉と配合から生まれる他にない弾力と極細ゆえにその上品な口あたりはまさに神!
極寒の限られた期間のみ作られ非常に高度な技術を要するため生産量が少なく希少な等級です。
10g当り120本以上という基準です。
(一般に食されている「誉」の約半分の細さ)

約600本/1束(50g)
緒環(おだまき)「神杉」の次に細く作られた等級です。極細専用の小麦粉を使用し生産時期を限定。
厳しい製品検査を合格した素麺は細いながらも弾力があり、見た目にも美しい仕上がりです。
約475~525本/1束(50g)
瑞垣(みずがき)「誉」よりも麺線が細い三輪そうめんの等級です。コシが強い小麦粉の配合にしています。
熟練の手延べ技術から生まれるしっかりとしたコシと艶やかな麺肌で上品な口当たりの素麺です。
約400~475本/1束(50g)
誉(ほまれ)全生産量の約90%を占める定番の三輪素麺です。
一般的に食されることが多い等級です。
手延べ製法の基本を守り、厳選された小麦粉と塩で小麦の風味を生かした味わい深い素麺に仕上げられます。
約350~400本 /1束(50g)

※ 麺の細さは約1mm。

      

組合基準では、4段階ありますが、「地理的表示保護制度」にも登録では、

  • 普通品(65~75本/10g):誉(ほまれ)が相当
  • 上級品(75~95本/10g):瑞垣(みずがき)が相当
  • 最上級品(95本以上/10g):神杉(かみずぎ)、緒環(おだまき)が相当

という規定もあるようです。
(50gあたりに換算すると微妙に、細さが異なるようですが、概要ということで・・・。)

     

各等級は、帯の色でも区分・・

先ほども紹介した通り、組合の検査基準に基づいて合格した三輪素麺は、鳥居マークのついて帯で結束されます。
この帯の色は、等級によって異なり、

  • 「誉」:「黒」の帯(画像のもの)

が巻かれます。

見た目でも比較すれば細さである程度分かりますが、単体でもこの帯の色で等級が、分かるということですね。

     

これ以外の製造元独自基準も?・・・

これ以外にも、独自の味わい・グレードを設定 している製造元もあります。

また、

  • 中には、三輪素麺工業協同組合の加入していないのではないかと思える(素麺にマークが表示されていない)製造元がある
  • 麺を束ねる鳥居マークの帯についても、組合加盟の製造元でも使われずに製造元独自の帯が使われるケースもある


等があり、「三輪素麺」として認定されているのものなのか否かが分かりにくくなっている点が少し気になります。

また、組合加入している製造元の一覧が見当たらないというのも少し不思議です。
(下に、分かる範囲で加盟店を一覧にしてみました。)

   

これについて、思うところは、以下の通りです。

独自の製法を加えて作られたものなのかもしれません。三輪素麺の規定に従うと、、ほぼ同一の基準で作られるため、製造元の味の特徴が出しにくくなるとも言えます。

そこで、規定された基準で作られる「三輪素麺」とは別に、三輪素麺の美味しさを担保しながら、オリジナリティーを出し、異なる食感・味わいを出す取り組みがされているのではないかということです。
三輪素麺を名乗らない素麺があるのは、あえて、三輪素麺として名乗らずにオリジナルな商品を製造しているのかもしれません。

これについては、今度確認してみたいと思います。

    

確かに、組合に加入している製造元でも、三輪素麺の規格にはないような商品ラインアップが作られており、味わいに対するバリエーションが拡がっています。

図は、「しっかり」「もっちり」とか、複数の異なる触感が提供される例です。(画像は、株式会社 マル勝髙田商店 の素麺)

     

三輪素麺工業協同組合に加盟企業は?

分かる範囲ですが、三輪素麺工業協同組合に加盟している製造元は、以下の通りです。
(他にもあるかもしれません。)

株式会社 池利
三輪の翁 稲垣商店
株式会社 三輪そうめん小西
株式会社 マル勝髙田商店
巽製粉株式会社
株式会社 三輪そうめん松田
株式会社 よし井

       

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いろいろな「にゅうめん」を楽しむのがプチブームに!

同じ製造元でも食感の異なる複数の三輪素麺が販売されるようになっているとともに、昨今では、工夫を凝らした素麺も提供されるようになっています。

伝統的なものから新作まで様々な「にゅうめん」を提供する飲食店が「三輪にゅうめんマップ」として紹介され、プチブームとなっています。

奈良の楽しみの一つとして、食べ歩きをしてみてはいかがでしょうか。

      

三輪素麺食レポ

私も、実際に食べた三輪素麺(お店で食べたものや購入し自宅で調理したもの全般)の感想をレポートしていきたいと思います。
(以下に順次追加していきます)

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