春日山石窟仏は、春日山原始林にある、いくつかの石窟仏のうちの一つです。滝坂の道にある首切地蔵の近くにあります。
現在は、すべてを確認することはできませんが、平安時代の後期、厨子のように掘られた石窟内に18体の石仏が彫られていたようです。
春日山石窟仏(かすがやませっくつぶつ)について
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
春日山石窟仏は、春日山原始林の中にあり、滝坂の道にある首切地蔵から、柳生街道を少し登ったところにあります。柳生街道から直接登る道は、通行止めとなっているため、そのまま進み、一旦奈良奥山ドライブウェイまで出てからのアクセスとなります。(詳しくは、下で紹介しています。)
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岩が厨子(ずし)のように掘られており、その壁に石仏が彫られています。東大寺大仏殿を立てるために石材を掘り取った跡に彫られたもののようです。
洞窟は、東西のふたつに分かれています。
東側の洞窟は、地蔵尊を中心に、また、西側の洞窟は、大日如来と阿弥陀如来を中心に18体の石仏が厚肉彫りされていたようですが、一部は、破損しており、すべてを確認することはできません。
また、現在は、金網で保護されており、金網の外から拝観となります。誰が、開けたのか、写真が撮りやすいように金網の一部に穴が開いています。
東側の洞窟(正面から見て右側)<東窟>
東窟は、中央正面に、柱から屋根につながるような形の岩が残され、その奥が厨子のように掘られています。
左側の壁には、地蔵菩薩四体が厚肉彫りされています。このほか、天部像一体を表しているようですが、その構成は分かっていません。
右側の壁には、観音菩薩三体が、蓮華座に立っています。
また、中央の柱のように見える石は仏塔(層塔)と考えられ、この4面には、薬師如来、釈迦如来、阿弥陀如来、弥勒菩薩の四仏が彫られているようです。
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西側の洞窟(正面から見て左側)<西窟>
西窟は、阿弥陀如来など3体の如来のほか、多聞天像なども彫られています。
左側に、邪鬼を踏みつけて立つ多聞天(たもんてん)が厚肉彫りで彫られています。その横には厚肉彫りの阿弥陀如来が坐しており、不空成就(ふくうじょうじゅ)如来、さらに大日如来坐像の三体が彫られています。また、かつては宝生(ほうしょう)如来、阿しゅく如来も彫られており、金剛界(こんごうかい)五仏の構成であったと考えられています。
- 阿弥陀如来は、刻銘から、1157年(保元2年)の作とみられます。
- 大日如来は、刻銘の上部が欠損しているが、興福寺の記録から1155年(久寿(きゅうじゅ)2年8月の銘があったといわれます。
- 平安時代の作であることは確認できていますが、誰が石仏を彫ったのかは不明です。
- 大乗院の山伏が、岩窟に起居して彫ったものといわれていたり、大仏殿の石材を掘り取った跡に石工が彫ったものともいわれています。
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春日山石窟仏へのアクセス
所在地:
奈良県奈良市春日山原始林内
地 図
最寄駅:
近鉄 奈良駅、JR奈良駅
春日山石窟仏は、滝坂の道の遊歩と合わせてアクセスするのがいいでしょう。滝坂の道にある首切地蔵より、旧柳生街道を進み、徒歩15分程度で到着できます。
急こう配の山道を登るルートもあるようですが、現在(2021年8月時点)は、通行禁止のため、一旦「奈良奥山ドライヴウェイ」に出てから、向かいます。
「滝坂の道」については、こちら
「奈良奥山ドライヴウェイ」 から横に登る山道を50mくらい進むと、説明板があります。
ただ、この説明板のある場所から、春日山石窟物らしきものは見えないため、少し戸惑いますが、そのまま進むと、少し下った直ぐ先にあります。
- 「春日山原始林遊歩」の記事でも紹介していきますので、そちらも合わせてご覧ください。
- また、石窟仏に関心のある方は、合わせて周辺の石窟仏を巡るといいでしょう。周辺には、「寝仏・朝日観音・夕日観音」(滝坂の道)や、「地獄谷石窟仏」(柳生側)があります。
近隣の宿泊施設
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