長谷寺は、真言宗豊山派(しんごんしゅうぶざんは)の総本山であり、 また西国三十三観音霊場第八番札所です。 広い境内には四季折々の花が咲き「花の御寺(みてら)」とも言われており、季節ごとに大変見ごたえがあるお寺です。
拝観どころ
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仁王門、登廊にはじまり、本堂と数多くの堂や塔、四季折々の花とのコラボレーションが素晴らしいです。季節にかかわらず、ゆっくりと時間を掛けて境内をめぐるのがいいと思います。
正午には、法螺貝の音もとどろきます。かつてこの法螺貝の音を聞いた本居宣長が、その昔、清少納言が枕草子の中で、「突然鳴り出したこの法螺貝の音に驚いた」という記述を思い出したようです。
山中にそびえる本堂の舞台は、境内の様々な場所から観ても美しく、また、舞台からの景色も素晴らしいです。「来て良かった」と思えるお寺の一つであり、「また来たい」と感じるお寺の一つだと思います。
長谷寺の概要
686年 道明上人が、天武天皇の「銅板法華説相図(千仏多宝仏塔)」を西の岡(元長谷寺)に安置したことにはじまり、727年に、聖武天皇の命により、徳道上人が、東の岡にご本尊の十一面観世音菩薩が造られました。
この十一面観世音菩薩像は、木造では日本最大級となります。
平安時代より民衆に親しまれた「初瀬詣」が続いています。
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大和国 長谷寺 画像ギャラリー
是非、長谷寺の魅力を写真でご覧ください。
撮影:2021年(令和3年)1月
Photos by Catharsis 無断転載禁止 ©Catharsis 2021-2024
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長谷寺の見どころ
以下の順にみていくといいのではないかと思います。
仁王門
建立されたのは、986~1011年の間(一条天皇在位中)とされているが、現在の門は1894年に再建されたもの。両側に「仁王像」、上階には「釈迦三尊」と「十六羅漢」が祀られています。
登廊(のぼりろう)
本堂へ399段の「登廊」が長く敷かれています。「下登廊」「中登廊」「上登廊」と三つ折りのレイアウトで続いています。
「下登廊」では、1~2月には冬牡丹、4月下旬~5月下旬に牡丹の花を鑑賞することができます。
「冬牡丹」の静かに咲くさまは風情を感じます。
二もと杉
「下登廊」の途中にある「宗宝蔵」と「月輪院」の間の小道を右へ曲がってしばらく歩いたところに、「二もとの杉」(ふたもとのすぎ)があります。
『古今集』に「初瀬川古川のべにある二本(フタモト)ある杉」と書かれていたり、『源氏物語 玉鬘(タマカズラ)』に「二本の 杉の立ちどを 尋ねずは ふる川のべに君を見ましや」と歌われたりと、当時から知られていたようです。
「二もとの杉」をさらに奥へ進むと、鎌倉時代初期の歌人を供養する石碑「藤原俊成碑・定家塚」があります。
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天狗杉
「下登廊」を登りきったところにある太めの杉の木です。
この杉は、長谷寺第十四世能化(住職)ちなんで伐採されずに残されたものとされています。
燈籠の明かりをいたずらで消す天狗に奮発して修行に励んで住職となったことから「能化となったのも天狗のおかげ」として伐採されずに残した一本だといわれています。
蔵王堂
「中登廊」と「上登廊」の間にあります。
このあたりに、吉野山から虹が架かり、その上を三体の蔵王権現が歩いて長谷寺までやって来たといういわれから、この場所に金峯山寺の蔵王堂と同じ「弥勒」「釈迦」「千手観音」の三体が祀られています。
縁結びの社 と 貫之の梅
「蔵王堂」のすぐ横にあります。
「縁結びの社」は、諸国を行脚する西行法師が観音様のお導きでここで妻と再会したことが縁起です。
「貫之の梅」は、幼少期を長谷寺で過ごした紀貫之が、叔父の雲井坊浄真を訪ねて再訪したときに歌を詠みあったことにちなんでいます。
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愛染堂
「本堂」の正面から右奥にあります。
1588年、観海上人による再建で、愛染明王像が安置されています。
本堂(観音堂)
「上登廊」を登った左手に国宝の「本堂」があります。
ご本尊の十一面観世音菩薩像が祀られています。
奈良時代の徳道上人の造立ですが、今の観世音菩薩像は、1538年に仏師運宗らによって造られたものです。
舞台造の本堂(国宝)は徳川家光により再建されたもです。
大殿堂の舞台からの眺望は素晴らしいものです。
大黒堂
「本堂」に向かって左横にあります。
大和七福神八宝霊場の一つで、商売繁盛のご利益があるとされています。
大和七福神八宝霊場は、「大神神社(七福倍増)」「長谷寺(大黒天)」「談山神社(福禄寿神)」「安倍文殊院(弁財天)」「信貴山 朝護孫子寺(毘沙門天)」「久米寺(寿老神)」「當麻寺中之坊(布袋尊)」「おふさ観音(恵比須天)」です。
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開山堂
「大黒堂」に向かって左側の階段を降りたところにあります。
長谷寺を開き、西国三十三所巡礼を始めた徳道上人が祀られています。
本長谷寺
686年、道明上人が天武天皇のご病気平癒のため「銅板法華説相図(千仏多宝仏塔)」を鋳造し、本尊としてお祀りされた。
天武天皇の勅願により、ここに精舎を造営したことから、「本長谷寺」と呼ばれています。(長谷寺創世の地)
五重塔
「本長谷寺」の横にそびえます。
そのすぐ側には、「三重塔跡」があります。
長谷寺の三重塔は、明治9年(1876年)の落雷で焼失しました。
「五重塔」は、昭和29年(1954年)、戦没被災者慰霊のため建立されたもので、内部に大日如来が祀られています。
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本願院
「五重塔」から階段を下りたところにあります。
「本願院」は、もとは聖武天皇の勅願寺であったといわれ、長谷寺を開山した徳道上人が晩年に住居した跡とされています。
奥の院
(時間がないときは、本願院から本坊に向かうのがいいと思います。)
奥の院にある歴代能化墓所には、真言宗豊山派の派祖と崇拝される専誉僧正をはじめとして長谷寺歴代の能化(住職)は奉安されています。豊臣秀長公の供養碑もあります。
2003年(平成15年)、派祖専誉僧正400年御遠忌と頼瑜僧正700年御遠忌を記念してこの歴代能化墓所が整備されたものです。
本坊・大講堂
国宝の本堂と相対する南の高台に位置しています。
本坊の創建は1588年とみられるが、明治44年に焼失し、大正時代に再建されたものです。
ここから眺める本堂もいいものがあります。桜の季節は圧巻だと思います。
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おすすめの時期
どの時期も、長谷寺の魅力に触れることができると思いますが、花とのコラボレーションは、より感動を深めてくれるものと思います。
主な行事
年中行事は、数多く行われています。
行事そのものにご興味のある方は、行事に合わせて拝観するのがいいと思いますが、四季折々、ゆっくりのんびりと散策するのがお勧めです。
朝の勤行
1月1日を除き、毎日行われてる朝の勤行に参列することができます。
夏時期:4月1日〜9月30日(毎朝 午前6時30分)
冬時間:10月1日〜3月31日(毎朝 午前7時)
※1月1日は休止
※ 勤行開始の30分前より、本堂窓口にて受付
仁王門は開いておりますので、柵を避けて入山
※丈の短いスカートやズボン、華美な服装などお参りにふさわしくない服装だと参列できない場合があるので注意。
参拝料:500円
正午を伝える法螺貝
1300年前から毎日正午を告げる法螺貝が吹かれており、鐘の音色とともに山寺に響きます。
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本尊大観音尊像 特別拝観
特別拝観では、十一面観世音菩薩立像(重文)の御足に触れてお参りできます。(普段は関係者以外立ち入りが禁止されています。)
・正月3が日
・春季 2023年3月1日~7月9日 ※
・秋季 10月上旬~12月上旬
※ 春季 特別拝観は、アジサイの見ごろに合わせて 7月上旬まで延長されています。
入山料 500円の他、本尊特別拝観 1,000円が必要です。
本坊大講堂特別拝観
1495年に罹災(りさい)した本尊十一面観世音菩薩を復興再建するため設計図として作られたと伝えられる本尊御影大画軸(掛けられない掛け軸)をレプリカでまじかに見られます。
※ 2023年は、本坊大講堂の特別拝観は、設けられていないようです。
ただおし
2023年令和5年は、拝観可能です。
例年2月に行われる修二会(しゅにえ)が結願する最終日の2月14日に行われます。
三匹の鬼が燃え上がる松明を持ち本堂の内外を駆け回る、無病息災、厄除け、開運祈願の法要です。
観音万燈会
大晦日の夜に、登廊に燈籠が灯され、灯の列が本堂まで幻想的に導いてくれます。
※ 変更になっている場合もありますので、詳細は、長谷寺ホームページをご確認ください。
(長谷寺の公式サイトはこちら↓↓)
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季節ごとに楽しめる花
桜(3月下旬~4月中旬)
しだれ桜 、山桜 、染井吉野、奈良八重桜、初瀬桜 他、延べ1,000本近い桜が長谷寺境内を華やかに彩ります。
牡丹(4月下旬~5月上旬)
7,000株に及ぶぼたんの花を登廊や境内の様々なところで楽しむことができます。
紫陽花(6月中旬~7月中旬)
境内の各所で紫陽花を楽しむことができます。
紅葉(11月中旬~12月上旬)
山全体に広がる紅葉を長谷寺境内から眺めることができます。飛鳥時代から続く紅葉で、色合いがとても豊かです。
冬牡丹(12月中旬 ~ 2月中旬)
藁の傘(わらぼっち)に覆われ寒中に咲く牡丹のたたずまいは、境内の優美さを際立たせる感じがします。
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大和国 長谷寺 へのアクセス
アクセス
所在地:
奈良県桜井市初瀬731-1
最寄駅:
近鉄大阪線 長谷寺駅
近鉄大阪線 桜井駅
JR万葉まほろば線 桜井駅
詳細情報
入山時間:
8:30〜17:00(4月〜9月)
9:00〜17:00(10月〜11月、3月)
9:00〜16:30(12月〜2月)
※牡丹まつり期間等時間延長あり
入山料金:
大人 500円
※ 変更になっている場合もありますので、詳細は、長谷寺ホームページをご確認ください。
(長谷寺の公式サイトはこちら↓↓)
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豆知識
興味を惹かれるちょっとしたネタも含めて。
古典にも数多く登場する初瀬・・・
長谷寺のある桜井市初瀬(はせ)のあたりは、古来、「はせ」、「はつせ」、「とよはつせ」と呼ばれ、泊瀬、初瀬、豊初瀬などと記されました。
7世紀後半に編まれた『万葉集』では「こもりくの泊瀬」と歌に詠まれ、泊瀬にかかる枕詞「こもりく(隠国)」は、三方が山に囲まれた奥まった場所を指す、といわれています。
初瀬は、平安時代よりこのかた、女人の参詣も盛んで、『蜻蛉日記』、『源氏物語』玉鬘巻、『更級日記』をはじめ『枕草子』にもしばしば登場し、時代のロマンも感じるところでもあります。
もともとの参道は・・・
もともとの参道は、「二もとの杉」の付近にあったが、菅原道真公が「本堂(観音堂)」へ駆け登ったという故事にちなんで、人々がその道跡を通るようになったことがきっかけでこちらが参道となったようです。
内舞台に掲げられた西側と東側の絵馬・・・
内舞台に掲げられた西側と東側の絵馬は、もともとは一枚だったものが、絵馬の牛若丸と弁慶が、夜ごとに絵から抜けだして大立ち回りをするとかで、二つの絵馬に分けたなどという話もあるようです。
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近隣の見どころ
多少距離はありますが、「室生寺」「安倍文珠院」「岡寺エリア(飛鳥寺、橘寺、石舞台、酒船石など)」「談山神社」「大神神社」「橿原神宮」、さらに離れますが「壷阪寺」などは、お勧めスポットです。(奈良滞在日程に応じての選択いただければと思います。)
お得な情報
奈良大和四寺巡礼 という企画が開催されており、
「長谷寺」「室生寺」「岡寺」「安倍文珠院」
の『4ヶ寺 共通拝観券』というものがあります。
入山料は、個別に入山するのと同じ料金ですが、「護摩木」「散華」「巡礼衣(先着1万名限定)」のプレゼントがいただけます。
令和2年1月末時点では、まだありました。
※巡礼衣に御朱印をもらうのには、料金がかかります。
詳しくは、こちら↓↓
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